雲南への高品質な旅行の実現に向けて

世界遺産 麗江古城

2021年4月雲南省文化旅行局、局長曾艳より、3本の改善点を中心とする雲南の旅行品質に関する政策方針を発表した。これまでに雲南省各地で大きな問題となっている旅行サービスや旅行会社について、今後雲南省の旅行業を世界一流レベルに引き上げ、量から質への転換を図るために改善を図ることを目的に実施しする。近年では旅行業に対する様々な規則の改善により、雲南省各地の問題が改善されつつあるが、これまでに改善が容易でなかった問題として「各地で大量存在している、低価値の観光地」を「文化価値の再評価と政府が認める事業者のみによるサービスの提供」へと改善することで、旅行に対する質の向上を強化する方針だ。

改善策1. 「消費者保証」

昨年、ある観光客が世界遺産の麗江古城で10,800元(約180,000円)の値段で購入した翡翠製品対して不満があり、これまでであれば持ち帰り後の返金は認められなかった。しかし今回の改善規則では、指定加盟店で購入した商品であれば携帯アプリで返金の申し込み後、数分で返事が届き、3日後には全額の返金が可能となった。

このような素早く処理が行われる理由は、2019年5月から雲南省全省の旅行地に対する「30日間返品保証」という新た規則が施工されたことで実現したことで、現在までの約2年間で16,900件以上の返金を受け付けし、返金額は約1.18億元以上(約20億円)に上った。

 その他に観光地の商品に対する管理条例も厳しくなり2020年2月までに計1,132種類の商品が品質保証を満たしていない等、条件を満たしていないことから販売が禁止となった。また商品だけではなく旅行会社に対するルールも厳格化し、一か月以内に2回以上の被害報告が事実と認めた時は、厳しく罰則されることが決められている。この規則が始まって以来、アンケートによると雲南省各地の有名旅行先での顧客満足度は年々増加しており、改善の効果が表れている模様だ。

その二「先端技術の応用」

 雲南省の観光地は全体的に高地に所在することから、低地からの旅行者は高地の低酸素環境に慣れない観光客が多く、酸素不足による高山病なりやすい。特に高齢者は肺が弱いことから高い確率で低酸素症状が現れる。今回の改善の施策として、高地の観光地での緊急時の対応として、スタッフに直通できる緊急連絡電話を設置し、身体的危険時に直接スタッフが駆けつけ、速やかに酸素吸入や低地への移動などの対策を行うことを予定している。

 その他に、近年大ヒットになったVR技術も旅行業に広く運用される予定だ。その使い方としてはVR技術を使い、悪天時に代わりとしてVRによって一番綺麗な景色を体験できるなど状況に応じて様々なコンテンツの提供で満足度を高めることを目的として運用される予定だ。また、観光地の管理方法についても新たなシステムを導入し、観光地の監視や管理などITやAIの先端技術を活用し、文化価値のある観光地の一元管理が可能となるシステムの運用が始まった。対象となる部分は多岐にわたり、入場者の顔認識による入退場管理、混雑度のチェック、安全設備の稼働状況、消防管理など遠隔による観光地の効率的な総合管理の実現をもたらしている。

その三「文化の保存」

歴史ある観光地は常に人気があり賑わっているが、空き家も多く見られ、また風情に見合わない建物も増加している。そこで、古来文化を取り戻すために政府や民間の主導でリノベーションを行い、建物を本来あるべき姿を再現し、文化を感じさせる素敵なホテルやレストランを創出し街区の再生を行うこととなった。特に古来当時の文化価値を旅行者に伝えるために、これまでによく見られたバーベキューやカラオケなど現代的な文化を売り物とする店舗の排除を実施。当時の文化を感じる手作り体験会や騎馬など、生活を体感するるイベントを通じてその当地の文化を実感してもらい、雲南の高品質な旅行を実現目指している。

 「旅行とは、本来いい景色を観るだけではなく、悩むこと苦しいことを全部頭から捨てて、自分をここの住人として想像しながらここの生活を体験するべきです!」と局長の曾艳は語った。

雲南省は多数の歴史遺産の残る省として世界中に、雲南省の価値のある美しい文化を体感していただける、品質の高い旅行サービスの提供を、今後も日々改善に取り組むと決意を表している。